2015年5月26日

鎌倉美術館ツアー3|四季を描くひと


川口一箱古本市を挟んで日にちが空いてしまいましたが、「朗読者と行く鎌倉美術館ツアー」レポート第3回です。

前回はどこまで行ったっけ?という事で、ふり返りたい方はこちらをご覧ください。
→「朗読者、鎌倉へゆく

そう、前回は鏑木清方と谷崎潤一郎「刺青」の関係を紐解いた後、ようやく鏑木清方記念美術館の正面玄関をくぐったのでした。

鏑木清方記念美術館

鎌倉市 鏑木清方記念美術館は、平屋建てのこじんまりとした施設です。

鏑木清方記念美術館
鏑木清方記念美術館 中庭
展示室の他に、当時の材を使用して再現された画室、清方が好んだ草花を配した中庭など、小さいながらに見所が多数あります。
私たちが伺った時、中庭にはあやめが咲いていました。もう少ししたら紫陽花が楽しめるのではないでしょうか。紫陽花は清方が特に好んだ花で、「紫陽花舎(あちさゐのや)」という、雅号や随筆を残しています。また、木挽町に住んでいた頃の邸宅も「紫陽花舎」と名付けていたようですね。

さて、学芸員Iさんの丁寧でわかりやすい解説に導かれて、画室→中庭とめぐり、とうとうお待ちかねの展示室へ!


特別展『初夏を彩る―清方の名品』
(会期終了しました)



墨田川両岸
川口市所蔵
展示室を右に折れるようにして入ると、いきなり目の前に《墨田川両岸》が現れました。

ふんわりと甘やかな「梅若塚」。
しゃなりと涼やかな「今戸」。

何度も写真では見ていましたが、本物はやっぱり透明感が違います!

煙が上がる今戸焼の窯の向こうに、梅若丸辞世の句に読まれた‘都鳥=ユリカモメ’が描かれていたり、笠と傘の対比を見せたり。「梅若塚」の笠の中には菫が描かれているのがよくわかりますが、実はよーく見ると「今戸」の傘には桜の花びらが!
「見れば見るほど発見のある絵」だと語る学芸員Iさん。彼女の細やかな解説・分析で清方の意図が紐解かれていきます。

そうして。
残月の下散歩する長女を描いた代表的美人画《朝涼》
東京大空襲の直後に描かれた、藤の花を愛でる女性が艶やかな《紫暎》
清方がもっとも好んだ花《紫陽花》
等等。
約五十点の作品を堪能しました。

展示を拝見してもっとも腑に落ちたのは、「清方は美人画家といわれるが、女性を描こうとしたのではなく、四季を描こうとしたのだ」という事。
女性のしぐさや着物の柄、手にする道具や装飾品、そして植物の色合いに、季節を感じました。日本の文化はやはり四季と共にあるのですね。
そして、暮春から初夏にかけてを清方は一番好んだそうです。ちょうど今回の展示の季節。清方にとっても快い作品ばかりだったのではないかと想像します。

学芸員Iさん、ありがとうございました!

鏑木清方記念美術館公式サイト http://www.kamakura-arts.or.jp/kaburaki/
鏑木清方記念美術館公式twitter https://twitter.com/kaburaki_museum

現在は、特別展『美の伝承 ―清方と弟子たち』が開催されています。
会期は2015年5月23日(土)~6月28日(日)。
初夏の散策がてら、是非鎌倉へ!

さて。
ど頭からすっかりスケジュールが押した我々は、後ろ髪をひかれながら鎌倉市川喜多映画記念館へ向かます。